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睡眠に関する情報がいろいろ増えてきていますが、まだまだ誤解されていることも少なくありません。
睡眠の「新常識」をクイズで確認していきましょう。

Q 年齢や職業などに関わらず、睡眠時間は6~8時間くらいが理想なのですか?

A 6~8時間は、あくまで目安です。個人差があります。

解説1,2)

適切な睡眠時間には、個人差があるといわれています。
また、一晩に眠れる時間には限りがあります。
さらに、必要な睡眠時間は年齢によっても変化することがわかっています。 1, 3, 4)

図表・イメージ:6~8時間は、あくまで目安です。個人差があります。

成人、こども、高齢者別に推奨される睡眠量については以下をご覧ください。

Q 受験を控えている中高生の場合、推奨される8~10時間の睡眠をとることが難しいのではないでしょうか?

A 睡眠をとることは、学習にも良い影響を与えると言われています。

解説

良質な睡眠をとり、適切な睡眠時間を確保すると、集中力が増して学習効率が上がるとされています。5)
また、睡眠をとることで学習した内容を強固にできるといわれています。6)
睡眠は健康維持にも関わりますから、勉強/睡眠の時間のバランスを取ることが大切です。

Q 眠れずに寝床で横になっている時間が長いのですが、それでも寝転がっていたほうがよいですか?

A 眠れないときに頑張って寝る必要はありません。焦らず、むしろ寝床から離れて眠くなるのを待ちましょう。

解説

確かに十分な睡眠時間を確保しようとすることは大切です。
しかし、寝つけないのに寝床で長く過ごしていると、かえって睡眠の質を下げることがわかってきました。 1, 3, 7)
特に高齢の方々は、寝床で過ごす時間が長くなると健康を損なうリスクにつながるとも言われています。1)
寝るときと起きているときのメリハリをつけ、「寝床に入るのは、眠くなってから」と意識づけて、眠くなるまでリラックスして待ちましょう。1, 8)
図表・イメージ:眠れないときに頑張って寝る必要はありません。焦らず、むしろ寝床から離れて眠くなるのを待ちましょう。

Q 平日は睡眠不足で休日に寝だめしていますが、どのくらい効果がありますか?

A 寝だめは悪影響もありますので、まずは平日の睡眠習慣を見直しましょう。

解説1)

休日に寝だめが必要な人は、そもそも平日の睡眠時間が足りていないサインです。
平日に十分な睡眠時間を確保できるよう、まずは睡眠習慣の見直しをお勧めします。平日は睡眠時間を6時間以上確保し、休日は寝だめをするとしても+2時間以内に収めるようにしましょう。
休日の寝だめの習慣化は、慢性的な睡眠不足と体内時計のずれ(社会的時差ボケとも呼ばれています)による健康への悪影響があります。また、寝だめによって平日の眠気は完全には解消されないとも言われています。

Q 寝る前にお酒を飲むようにしていますが、満足な睡眠がとれません。

A 寝酒は睡眠に悪影響があるとされています。

解説1,9)

アルコールには入眠を促す作用があるものの、寝ている途中で起きてしまう「中途覚醒」を起こしやすくなります。
晩酌は控えめにしましょう。

Q 寝る前にしっかりと運動をしていますが、なかなか眠りにつけません。

A 運動の効果は人によって異なるので、自分に合った運動習慣を身につけましょう。

解説1)

適度な運動習慣は、睡眠時間を増やし、睡眠の質を高めます。1, 10)
ただ、運動のタイプ、運動強度、運動時間、運動のタイミングや頻度に加え、生活活動量や年齢によって、その効果は異なります。自分に合った運動習慣を心がけましょう。
図表・イメージ:運動の効果は人によって異なるので、自分に合った運動習慣を身につけましょう。

Q 睡眠の質を上げるためには、深く眠ることが大切ですか?

A 大切ですが、場合によっては睡眠休養感につながらないこともあります。

解説3)

深く眠ることは大切です。ただ、実際に脳波で「深い眠り」を測定して睡眠の質(睡眠休養感)との関係をみたところ、「深い眠り」が必ずしも睡眠休養感につながっているわけではないことがわかりました。
また、中高年を対象にした調査7)から、寝起きに「しっかり休めた」という睡眠休養感があることが健康維持に重要であるということがわかってきました。

Q 暖色系のLED照明であれば、夜間に点灯させていても大丈夫ですか?

A LED照明にはブルーライトが多く含まれているため、明るすぎないようにしましょう。

解説

現在使われているLED照明は青色発光ダイオードを使用しており、体内時計に影響を及ぼす短波長光(ブルーライト)が多く含まれます。
したがって、夜間の使用時は明るすぎないように調節することが必要です。
また、就寝時には低い照度の光でも中途覚醒を増加させることがわかっていますので、照明は消すように心がけましょう。
図表・イメージ:LED照明にはブルーライトが多く含まれているため、明るすぎないようにしましょう。
  • 1)厚生労働省, 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会: 健康づくりのための睡眠ガイド2023. 令和6年(2024年)2月. pp.8-9, 12, 17, 20, 23-24, 26, 30-33.
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html [2024年6月8日アクセス]
  • 2)三島和夫: やってはいけない眠り方. 東京, 青春出版社, 2017, pp, 47-58
  • 3)栗山健一: 60歳からの新しい睡眠習慣. 東京, 河出書房新社, 東京, 2023, pp.24-42.
  • 4)Ohayon MM, et al. Sleep 2004; 27(7): 1255-1273.
  • 5)Curcio G, et al. Sleep Med Rev 2006; 10(5): 323-337.
  • 6)Klinzing JG, et al. Nat Neurosci 2019; 22(10): 1598-1610.
  • 7)Yoshiike T, et al. Sci Rep 2022; 12(1): 189.
  • 8)Buysse DJ, et al. Arch Intern Med 2011; 171(10): 887-895.
  • 9)Ebrahim IO, et al. Alcohol Clin Exp Res 2013; 37(4): 539-549.
  • 10)Kline CE, et aI. Sleep Med Rev 2021; 58: 101489.
睡眠の質を高めるセルフケア