新型コロナウイルスの特徴は?

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とは?1)

2019年12月に中国・湖北省武漢市で新たに発見されたコロナウイルスです。

ヒトに感染するコロナウイルス1)

風邪の病原体として人類に広く蔓延している4種類※1と、動物から感染した重症肺炎ウイルスの2種類※2、2019年に発見された新型コロナウイルスが知られています。

<新型コロナウイルス>
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)
  1. ※1
    :風邪の10~15%はこれら4種のコロナウイルスが原因となる。
  2. ※2
    :重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)および中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)

変異株について

変異とは、生物やウイルスの遺伝子情報が変化することです。2)

一般的にウイルスは増殖や感染を繰り返す中で徐々に変異をしていくことが知られており、新型コロナウイルスについても少しずつ変異をしています。

大半の変異はウイルスの特性にほとんど影響を及ぼしませんが、一部の変異では、感染・伝播性(広がりやすさ)、重症化リスク、ワクチン・治療薬の効果、診断法などに影響を及ぼすことがあります。3)

症状

主な症状4)

  • 発熱
  • 倦怠感
  • 下痢などの消化器症状
  • 味覚異常
  • 関節痛
  • 咽頭痛     など
  • 咳などの呼吸器症状
  • 頭痛
  • 鼻汁
  • 嗅覚異常
  • 筋肉痛
  • オミクロン株による感染では、鼻汁・鼻閉・咽頭痛、急性喉頭炎から喉頭蓋炎、小児ではクループ症候群の報告も増加しています。 一方で、嗅覚・味覚障害の頻度は減少したと報告されています。
主な症状

小児の症状の特徴4)

オミクロン株流行期(2022年1~3月)においては、以前に比べ、発熱、咽頭痛、痙攣を認める割合が増加した一方で、嗅覚・味覚障害を認める割合は減少しました。

また、小児においては、痙攣、意識障害などの神経症状や嘔吐、経口摂取不良などの呼吸器症状以外の全身症状の出現にも注意を払う必要があり、特に発症後1週間の症状の経過観察が重要であると考えられると報告されています。

小児の症状の特徴

妊婦の感染

妊婦が同年代の女性と比較して、特に新型コロナウイルス感染症に罹患しやすいということはありませんが、妊娠後期に感染すると早産率が高まり、患者本人も重症化しやすいとされています。4)

一方、妊娠初期・中期の感染で胎児に先天異常を起こすという報告はなく、子宮内感染も稀であると考えられています。4)6)オミクロン流行以降は、母体の重症例は減少していますが、一定頻度で妊娠中期の流産や死産が発生しており、そのほとんどがワクチン未接種の妊婦です。諸外国でもわが国でも、妊娠中のワクチン接種による母体と胎児・新生児に対する奇形や流早産などの重篤な有害事象の増加はありません。そのため、日本産科婦人科学会・日本産婦人科感染症学会では、すべての妊婦に週数を問わず、積極的なワクチン接種を推奨しています。4)

妊婦の感染

合併症4)

新型コロナウイルス感染症では、呼吸器以外の器官・臓器にも様々な影響を及ぼすことが報告されています。
  • 呼吸不全:呼吸困難の発症直後に現れる急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
  • 心血管系:急性期の不整脈、ショック、症状回復後の心筋炎など
  • 血栓塞栓症:肺塞栓症、急性期脳卒中など
  • 炎症性合併症:ギラン・バレー症候群、小児多系統炎症性症候群など

重症化4)

新型コロナウイルス感染症は自然に回復する方も多いですが、特定の属性や基礎疾患があると、医療上の入院、酸素投与、集中治療が必要となるリスク(重症化リスク)が大きくなります。

一般にリスク因子の数が多いほど重症化リスクは大きくなると考えられています。ワクチン接種を適切に受けることは重症化リスクを低下させる有効な手段であるとされています。

重症化

主な重症化リスク因子4)

  • 65 歳以上の高齢者
  • 固形臓器移植後の免疫不全
  • 脂質異常症
  • 慢性呼吸器疾患(COPDなど)
  • 免疫抑制・調節薬の使用       
  • HIV感染症(特にCD4<200/μL)
  • 肥満(BMI 30 以上)
  • 喫煙
  • 高血圧
  • 悪性腫瘍                       
  • 妊娠後半期
  • 心血管疾患
  • 脳血管疾患
  • 慢性腎臓病 
  • 糖尿病

感染経路4)

感染経路は主に以下の3つだと考えられています。
感染経路
  • 飛沫より更に小さな水分を含んだ状態の粒子。エアロゾルは空気中にとどまり得ることから、密閉空間などにおいては1mを超えて感染が拡大するリスクがある。4)6)

潜伏期間

潜伏期は1~14日間であり、7)曝露から5日程度で発症する4)ことが多いとされています。

ただし、オミクロン株は潜伏期が2~3日、曝露から7日以内に大部分が発症するとの報告があります。7)

他人に感染する期間

発症 2 日前から発症後 7 ~ 10 日間程度と考えられています。4)8)

特に、発症の直前・直後でウイルス排出量が高くなるため、無症状陽性者からも感染する可能性があります。8)

なお、血液・尿・便から感染性のある新型コロナウイルスが検出されることは稀であると言われています。4)

【出典】

1) 国立感染症研究所|コロナウイルスとは(2021年9月30日改訂)

2) 厚生労働省|新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)2-2.変異株について

3) 国立感染症研究所|変異株について

4) 厚生労働省|新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第9.0版

5) 厚生労働省|新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|6.妊婦や小児に関すること|胎児・新生児への影響について

6) 国立感染症研究所|新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)の感染経路について

7) 国立感染症研究所|SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)の潜伏期間の推定:暫定報告

8) 厚生労働省|新型コロナウイルスに関するQ&A_2.新型コロナウイルスについて_問3

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