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風邪の病原体として人類に広く蔓延している4種類※1と、動物から感染した重症肺炎ウイルスの2種類※2、2019年に発見された新型コロナウイルスが知られています。
変異とは、生物やウイルスの遺伝子情報が変化することです。2)
一般的にウイルスは増殖や感染を繰り返す中で徐々に変異をしていくことが知られており、新型コロナウイルスについても少しずつ変異をしています。
大半の変異はウイルスの特性にほとんど影響を及ぼしませんが、一部の変異では、感染・伝播性(広がりやすさ)、重症化リスク、ワクチン・治療薬の効果、診断法などに影響を及ぼすことがあります。3)
新型コロナウイルスは、まず鼻咽頭などの上気道に感染すると考えられます。症状がインフルエンザに似ているため、症状のみから両者を鑑別することは困難です。オミクロン株による感染では、味覚・嗅覚障害の頻度は減少しています。
また、軽症者では、発症後1週間以内に症状が軽快することが多いとされています。4)
小児は、これまで成人と比較して軽症であるとされてきましたが、その臨床的特徴は徐々に変化しており、近年は死亡例も報告されています。また、2歳未満と基礎疾患のある小児には重症化リスクがあるとの報告があります。
15 歳以下の小児患者の初診時における臨床症状をオミクロン流行前・流行後で比較した調査では、37.5℃以上の発熱がみられる患者の割合が約90%に増加、痙攣や悪心・嘔吐を認める割合も増加しています。
小児においては、痙攣、意識障害などの神経症状や嘔吐、経口摂取不良などの呼吸器症状以外の全身症状の出現にも注意を払う必要があり、特に発症後1週間の症状の経過観察が重要であると考えられると報告されています。
妊婦が同年代の女性と比較して、特に新型コロナウイルス感染症に罹患しやすいということはありませんが、妊娠後期に感染すると早産率が高まり、患者本人も重症化しやすいとされています。
一方、妊娠初期・中期の感染で胎児に先天異常を起こすという報告はなく、子宮内感染も稀であると考えられています。オミクロン流行以降は、母体の重症例は減少していますが、一定頻度で妊娠中期の流産や死産が発生しており、そのほとんどがワクチン未接種の妊婦です。諸外国でもわが国でも、妊娠中のワクチン接種による母体と胎児・新生児に対する奇形や流早産などの重篤な有害事象の増加はありません。そのため、日本産科婦人科学会・日本産婦人科感染症学会では、すべての妊婦に週数を問わず、積極的なワクチン接種を推奨しています。
2021年末に流行株が感染・伝播性が非常に強いオミクロンに置き換わって以降、重症化する方の割合は低下していますが、高齢は最も重要な重症化リスク因子です。
小児は一般に軽症とされていますが、2歳未満と重篤な基礎疾患を認める場合は重症化に注意する必要があります。
特に、高齢者や下記のような基礎疾患などがある方で重症化リスクが大きいとされています。
また、複数の調査から、男性は女性に比べて重症化リスクが高いことが明らかにされています。
潜伏期間は、1~7日(中央値2~3日)とされています。4)
ただし、オミクロン株は潜伏期が2~3日、曝露から7日以内に大部分が発症するとの報告があります。7)
発症前から発症後 5 ~10 日と考えられています。
新型コロナウイルス感染症の後遺症は、罹患後に感染性は消失したにもかかわらず、他に原因が明らかでなく、罹患してすぐの時期から持続する症状、途中から新たに出現する症状、症状が消失した後に再び生じる症状の全般を指します。
症状は少なくとも2カ月以上持続し、発症から3カ月経った時点でも見られるとされており、その大半は時間とともに改善しますが、一部には社会生活に大きな制限が生じることもあります。そのため、周囲の理解とサポートが欠かせません。
1) 国立感染症研究所|コロナウイルスとは(2021年9月30日改訂)
2) 厚生労働省|新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)2-2.変異株について
3) 国立感染症研究所|変異株について
4)厚生労働省|新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第10.1版.P7-9,P11-12,P15
5) WHO|Coronavirus disease(COVID-19)
6) 国立感染症研究所|新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)の感染経路について
7) 国立感染症研究所|SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)の潜伏期間の推定:暫定報告
8)厚生労働省|新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント 第3.0版.P5-6,P14