療養終了後も 症状が気になる場合は?
※罹患後症状と同義



監修者からのメッセージ

新型コロナウイルス感染症の後遺症は、多くの人々が直面している重要な問題です。この病気は、発熱や咳などの初期症状から回復した後も、倦怠感、集中力の低下、味覚・嗅覚の異常、呼吸困難などの様々な症状を引き起こすことがあります。これらの後遺症は日常生活に影響を及ぼし、回復には時間が必要です。このため、周囲の理解とサポートが非常に重要です。家族、友人、職場の同僚など、患者の近くにいる人々が、後遺症に悩む患者さんの状況を理解し、適切な支援を提供することが求められます。また、患者さん自身も自身の状態を正しく理解し、必要に応じて医療機関を受診することが重要です。

新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行したとはいえ、このウイルスの影響は依然として大きく、後遺症にならないためにも予防策を講じることが重要です。手洗い、マスクの着用などの基本的な感染防止策およびワクチン接種を継続することは、ウイルスの拡散を防ぎ、自身や他人の健康を守るために不可欠です。

最後に、新型コロナウイルス感染症の症状が現れた場合には、迅速に適切な医療機関を受診することが重要です。早期に診断を受け、適切な治療を開始することで、重症化や後遺症のリスクが低下したという報告があります。1)  

監修:大阪大学大学院医学系研究科・医学部 感染制御医学講座 教授  忽那 賢志 先生



後遺症

新型コロナウイルス感染症の後遺症は、罹患後に感染性は消失したにもかかわらず、他に原因が明らかでなく、罹患してすぐの時期から持続する症状、途中から新たに出現する症状、症状が消失した後に再び生じる症状の全般を指します。

症状は少なくとも2カ月以上持続し、発症から3カ月経った時点でも見られるとされており、その大半は時間とともに改善しますが、一部には社会生活に大きな制限が生じることもあります。そのため、周囲の理解とサポートが欠かせません。2)

気になる症状がある場合、まずは、かかりつけ医等や地域の医療機関にご相談下さい。3)

また、自治体によっては、相談窓口や後遺症の診療を行う医療機関リストを作成しているところもあります。

後遺症が認められる割合4)

アルファ・デルタ流行期に比べ、オミクロン流行期では割合が低いものの、オミクロン流行期(2022年1月以降)の感染患者が77.7%を占める本研究において、診断から30日後では20人に1人、60日後では27人に1人、100日後では37人に1人の割合で後遺症が認められています。

 

対象・方法
2022年3月末までに新型コロナウイルス感染症に罹患した大阪府豊中市民のうち、紙あるいはVOICEモバイルアプリケーションを用いた後遺症に関するアンケート調査で回答が得られた4,047人を対象とした観察研究。
後遺症が認められる割合
S Kutsuna et al. | Cross-sectional surveillance study of long COVID in Toyonaka city,
Osaka prefecture, Japan. Journal of Infection and Chemotherapy. 2023 より作成

発症しやすい方 4) 6)

女性や新型コロナウイルス感染症罹患時に重症だった方などに後遺症を発症しやすい傾向がみられ、罹患時に重症だった方は、中等症だった方に比べ、5倍ほど後遺症を経験しやすいという報告もあります。しかしながら、さまざまな報告があり、これらに該当しない方も注意が必要です。

代表的な症状 2) 3)

後遺症の症状は多様で、複数の症状を同時に経験することもあります。

症状が強い場合には、安静・休息を心がけ、段階的に日常生活に戻していくことが重要です。

全身症状
精神神経症状
その他
呼吸器症状
消化器症状
  • 2)を参考に監修医作成

小児 2)

年少児ほど頻度が低いものの、子どもでも後遺症が起きることが報告されており、注意が必要です。

また、心理社会的ストレスに伴い心身症となりやすい年齢でもあるため、新型コロナウイルス感染症に罹患したストレスによって、さまざまな症状が出現する可能性があります。罹患していなくとも、コロナ禍の生活変化・制限などによるストレスによって、後遺症とよく似た心身の変調を訴える子どももいます。

子どもの体調不良を「気分的なもの」や「気のせい」だと決めつけず、子どものつらさを理解しようとする姿勢をもちましょう。

症状の持続期間 2)

後遺症の内容や罹患時の重症度、病前の危険因子などによっても左右されるため、どの程度の期間で回復するのかについて、予測は難しいとされています。数カ月から半年程度の期間で改善を認めることが多いものの、再び悪化したり不安定な経過を辿ることもあります。

 

代表的な後遺症の経時的変化

グラフ
  • 代表的な後遺症より一部抜粋
対象・方法
2020年1月~2021年2月に全国27施設でCOVID‐19と診断され入院した18 歳以上の軽症・中等症・重症の患者1,066例(男性679例、女性387例)を対象とした観察研究。診断後3カ月、6カ月、12カ月に、紙あるいはスマートフォンアプリを用い、症状に関するアンケート調査を行った。
厚生労働科学特別研究事業:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究 総括研究報告書を参考に作図

治療・ケア 2)

【薬物治療】

後遺症に対する標準的な治療法は確立されておらず、対症療法(症状を和らげる治療)が中心となります。疼痛に対する鎮痛薬、咳嗽に対する鎮咳薬、喀痰に対する去痰薬などが使われます。

内服薬

【運動療法・リハビリテーション】

運動療法やリハビリテーションは、後遺症の改善に効果的であることが示されています。一方で、症状が強い場合には、労作により症状が悪化することも報告されているため、このような場合には、運動療法の実施は避け、個々の症状に合わせた日々の活動内容の調整、環境調整による対応を行うことが推奨されています。

リハビリ

ストレスや不安軽減のために、心がけること 5)

・十分な睡眠をとる

・リラックスできる習慣を見つける

・周囲とコミュニケーションをとる

・バランスの良い食事をとる

・日々の活動や趣味の時間を少しずつ増やす

新型コロナウイルス感染症を予防するために、できること

後遺症を予防するには、新型コロナウイルス感染症に感染しないことが最も効果的な方法です。手洗い等の手指衛生、換気、マスクの効果的な場面での着用などの基本的な感染対策およびワクチン接種を今一度、意識してみてはいかがでしょうか。3)ワクチン接種は、新型コロナウイルス感染症の発症や重症化を防ぐことが期待できます。ワクチン接種による後遺症発症予防については、現時点で明確な知見は得られていません 2)が、中には、後遺症のリスクを減らすという報告もあります。 6)

また、早期に診断および適切な治療を開始することで、重症化や後遺症のリスクが低下したという報告があります。 1)

新型コロナウイルス感染症を疑う症状が現れた場合には、医療機関を受診することが重要です。早期に診断を受け、適切な治療を受けましょう。

手洗い
換気
マスク着用
ワクチン接種

【出典】

1)Xie Y et al. | Association of Treatment With Nirmatrelvir and the Risk of Post–COVID-19 Condition.JAMA Intern Med. 2023;183(6):554-564

2)厚生労働省|新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント 第3.0版

3)厚生労働省|新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A

4)S Kutsuna et al. |Cross-sectional surveillance study of long COVID in Toyonaka city, Osaka prefecture, Japan. Journal of Infection and Chemotherapy. 2023

5)WHO Regional Office for Europe | Support for rehabilitation: self-management after COVID-19-related illness second edition

6)Tsampasian V, et al.|Risk Factors Associated With Post−COVID-19 Condition:A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Intern Med. 2023;183(6):566-580

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