治療の目標

特発性肺線維症(IPF)は、治癒が困難な慢性の進行性疾患です。治療では、肺の線維化の進行を抑え、残されている肺の正常な部分を線維化から守ることが重要です。
疾患の進行スピードは人によって様々なので、治療方針は症状に応じて主治医と相談しながら決められていきます。

疾患の進行イメージ

薬物治療

咳や息切れなどの自覚症状がなく病状が安定している場合には、病気の進行スピードの程度を数ヵ月間かけて観察していきます。
自覚症状や、肺機能の悪化がみられる場合には、薬物治療の開始を検討することとなります。さらなる病気の進行を防ぐために、治療はなるべく早期から開始することが望ましいとされています。
薬物治療はすぐに効果がみえるものではありませんが、できるだけ長く続けることが大切です。治療においては個々の患者さんの状態に合わせて、肺の線維化を抑えて肺機能の悪化を防ぐお薬や、状態が急に悪くなった場合にはステロイドなどのお薬が使用されることがあります。
お薬は医師の説明をよく聞き、指示を守って服用してください。
自己判断で服薬を中止すると、病気が悪化することがあります。
また、お薬を使用した際には副作用が発現する場合があります。
不安な点があったり、体調の変化があった場合にはすぐに医師や薬剤師に相談してください。

その他の治療

病状が進行し肺が線維化することにより、酸素が足りなくなった場合は、在宅酸素療法などの酸素療法が行われ、必要があれば呼吸リハビリも行われます。さらに心臓が弱った場合は、心不全の治療も行われます。
病状が進んで、一定の厳しい基準を満たす場合は肺移植の適応もあります。
在宅酸素療法
患者さんの低酸素状態を補正するために、大気に比べて酸素濃度の高い空気をカニューラ、酸素マスクなどによって供給するもので、自宅で行う治療法です。
呼吸リハビリ
呼吸機能に障害のある患者さんの残された肺の機能や呼吸筋を最大限に使い、上下肢の筋力を訓練するなど呼吸困難を改善するために実施するリハビリのことです。