特発性肺線維症(IPF)は、風邪やインフルエンザやCOVID-19などをきっかけに急速に悪化していくことが多い疾患です。病状が急速に悪化することを、急性増悪(きゅうせいぞうあく)と言います。
特発性肺線維症(IPF)では急性増悪を起こすと命の危険にかかわる場合がありますので、以下の点に注意することでこうした危険を回避しながら、自己管理を心がけましょう。

風邪の予防

風邪やインフルエンザやCOVID-19などをきっかけとして、急速に悪化することがありますので、体調を崩したり風邪などをひかないように十分に気をつけてください。
普段の生活では次のことに気をつけましょう。
  • 人混み(ほこり)を避け、外出時はマスクをつけ、
    帰宅時には「うがい」と「手洗い」をしましょう。
  • 室内の加湿と換気をよくしましょう。
  • 寒い季節の外出はできるだけ避けましょう。
  • インフルエンザの予防接種、肺炎球菌ワクチン接種を受けることをお勧めします。

タバコは必ず止める

タバコは肺に悪いだけでなく、心臓病の危険因子でもあります。糖尿病や高血圧などの生活習慣病を合併すると、治療薬が使いにくくなりますので、タバコは必ず止めてください。

ストレスのかからない生活

仕事も含めて日常の生活では、とくにしてはいけないことはありません。ご自身のからだと相談して、疲れないように休憩をとりながら動くことが大切です。
一般的には、「精神的、肉体的にストレスのかからない生活をする」というのが慢性疾患と上手に付き合っていくコツです。もちろん、家族の方の温かいご理解が不可欠なのはいうまでもありません。

少しでも体調に変化があれば

病院に行くほどではないと自然治癒を待っていると、急速に悪化することがあります。少しでも体調に変化があれば、できるだけ早く主治医に相談しましょう。なお、次のような場合には注意が必要です。
  • 息切れや呼吸困難がいつもより強い。
  • 咳がいつもよりよく出る。
  • 痰の色や量がいつもと違う。
  • 体が熱っぽく感じられる。
  • 脈拍がいつもより早い、
    動悸がする、胸が痛い。
  • 急に体重が増える、顔や足がむくむ。
  • 唇や爪の色が紫色になる。
特発性肺線維症(IPF)では、肺がんを合併する頻度が高いといわれています。そのため
症状が安定していても、定期的に専門医による診察を受けるようにしましょう!

先生との上手なコミュニケーションのとりかた

先生はつねに多数の患者さんをかかえているため、お忙しいことがほとんどです。
だからといって遠慮して不安をかかえたままでは、よきパートナーとして病気と立ち向かっていくことはできません。
疑問や不安を感じたときや、少しでも悪化の兆候が認められたときは、できるだけ早く先生に相談しましょう。
  • 自分の症状(自覚症状、今かかっている病気や
    以前かかったことのある病気)などは、かくさずに伝えましょう。
  • 疑問に思っていることや不安なことを聞くときは、
    あらかじめメモにまとめておくようにしましょう。
  • 専門用語など、わからないことがあれば、そのことを素直に話し、
    わかるように説明してもらいましょう。
  • 説明の内容は、メモをとるようにしましょう。
  • 1人で不安なときは、家族に付き添ってもらうようにしましょう。
  • 病気や治療についての、基礎的な知識を身につけましょう。
メモ記入のポイント
  1. 先生に何を質問したいのかを整理しましょう。
  2. その中で一番聞きたいことは何か、順序を決めましょう。
  3. 重要なことから順に、箇条書きにまとめてみましょう。
    先生が読みやすいように、字はくずさず、わかりやすく書きましょう。
    自分で書けない方は、誰かに書いてもらいましょう。
  4. 薬剤名は正確に書きましょう。

専門医からのメッセージ

工藤 翔二 先生

日本医科大学 名誉教授
公益財団法人結核予防会 代表理事

※ご監修時の肩書で掲載させていただいております。

河野 修興 先生

広島都市学園大学 学長

※ご監修時の肩書で掲載させていただいております。