慢性腰痛なのに運動?
ずっと腰が痛くて…
安静にして、動かさないほうがいいでしょうか…
昔はそのように言われていたんですが、最近では変わってきているんですよ
えっ? じゃあ、腰が痛くても動いたほうがいいんですか?
その通り!
楽しく運動! 慢性腰痛も改善!1-3)が理想ですね
【身体活動の意義(厚生労働省)3)】
- 病気の予防、病気による死亡率の低下
- 気分転換やストレス解消でメンタルヘルス不調予防
- ストレッチングや筋力トレーニングで腰や膝の痛みを改善できる可能性が高まる
- 風邪(上気道感染症)にかかりにくくなる
- 健康的な体型を維持できるので、自己効力感が高まる
ストレス解消などにつながるのも、運動の良いところです
そうは言っても、心配はありますよね
はい…運動したら余計に腰が痛くなるんじゃないでしょうか…
腰が痛くても、体が動かせるのであれば運動が効果的です!
体が動かせないレベルの痛みであれば、医療機関に相談してください
でも、なんで運動が腰痛に効くのでしょうか?
いくつかの要因が考えられます4)
- 筋肉を鍛えることで、椎間板などの不安定さを改善して、痛みを感じる神経を刺激しにくくなります
- ストレッチにより、硬直化している部位の構造面/機能面の改善が期待できます
- 痛みに作用する神経伝達物質が分泌されて、痛みを抑える方向に働きます(exercise-induced hypoalgesiaと呼ばれます)
ところで、以下のどの運動が慢性腰痛に最も効果的だと思いますか?
- ① 体幹の筋力を強化する運動
- ② 有酸素運動
- ③ お手軽エクササイズ(マッケンジー法)
えっ? 体幹の筋力をしっかりつけたほうがいいんじゃないですか?
実は、上記3つで効果に差がみられませんでした5,6)
慢性腰痛に対する運動の基本は、筋肉トレーニング、有酸素運動、ストレッチです2)
運動の種類を気にせず、できる運動から始めてみましょう7)
マッケンジー法は手軽にできるエクササイズのひとつです
手軽かもしれないけれど、運動を続けるのって大変そう…
続ける必要はあるんですか?
運動と言っても、激しいものばかりではありません
数分以内で広いスペースも要らないストレッチやエクササイズだったら、まずやってみて、続けてみようという気が起きやすいのではないでしょうか?
慢性腰痛に対する運動の長期的な効果は、まだ結論が出ていません1)
ただ、運動は痛みに対してさまざまなアプローチで改善を促します4,7)
さらに、腰の可動域や生活の質(QOL)も改善するとされています1)
運動をこまめに続けて、より良い生活につなげてみましょう!
1)日本整形外科学会, 日本腰痛学会監修. 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会腰痛診療ガイドライン策定委員会. 腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版. 2019, 東京, 南江堂, pp.53-55. 2)「慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究」研究班監修, 慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ編集. 慢性疼痛診療ガイドライン. 2021, 東京, シービーアール, p.128. 3)厚生労働省. 運動施策の推進. 健康づくりのための身体活動基準・指針. 健康づくりのための身体活動基準2013 「運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書」. 平成25(2013)年 https://www.mhlw.go.jp/content/000306883.pdf [2023年10月24日アクセス] 4)松平浩. リハビリテーション医学. 2016, 53(8), 615-619. 5)Slade SC, Keating JL. J Manipulative Physiol Ther. 2006, 29(2), 163-173. 6)菊地臣一. 腰痛 第2版(菊地臣一編著). 2014, 東京, 医学書院, pp.339-341. 7)矢吹省司. 日顎関節会誌. 2018,30(3), 243-248.