「がんのつらさ」とは

がんに伴って生じるさまざまな「つらさ」はお互いに影響しあって、
その人の総体的な「つらさ」となって現れます。

がんは、患者さん本人にとっても、ご家族にとっても、それまでの生活を一変してしまう大きなできごとです。病気による痛みや不快さなど、身体的なつらさだけでなく、精神的なつらさや、社会的な立場でのつらさなど、さまざまな「つらさ」があります。

身体的な「つらさ」

がんによる痛みや、痛み以外の不快な症状、がん治療による副作用など、さまざまな「つらさ」が、患者さんの日常生活の支障となります。また、痛みや吐き気などといった症状に対する適切な治療を受けず、苦痛が長く続いていると、「病気が悪化しているのではないか」といった不安につながり、「精神的なつらさ」が増すこともあります。

精神的な「つらさ」

重大な病気を前にすれば、誰しも感情はゆさぶられます。

  • がんの診断を受け、「自分はこれからどうなるんだろう」「治療は副作用が大きいのではないか」「手術によって外見が変わってしまうかもしれない」という不安
  • 治療後には、「いつか再発するのではないか」という不安
  • 「なぜ自分がこんな病気に」という怒りや、不快な症状が続き、治療がなかなか進まないことへのいらだち
  • 「家族や医療従事者に病気のことをたずねても、あいまいな答えしか返ってこない…」「周囲の人たちにもっとふつうに接してほしい」「誰も自分の気持ちをわかってくれない」といった孤独感

がんと診断された直後から、さまざまな感情が患者さんを苦しめます。 ときには、つらさのあまり、うつ状態となり、治療に前向きな気持ちになれないこともあります。
また、精神的なつらさは患者さんだけでなく、ご家族にも起こります。大切な人が病気になってしまったことへの不安や心の痛み、「本人とどう接していいかわからない」など、さまざまな精神的苦悩があります。

社会的な「つらさ」

がんの診断や治療によってもたらされた生活の変化や、日常生活への影響から感じる「つらさ」もあります。

  • それまで果たしていた職場や家庭、地域での役割を中断や中止
  • 職場の中で望まない異動や、ときには職を失うなどの社会的差別
  • 治療費や休職による経済的な負担
  • 「家族に迷惑をかけてしまう」という罪悪感
  • 周囲の「がん患者」という偏見や過剰反応

人生や死を考える「つらさ」

がんという大きな病気に直面すれば、現実的な治療や病気に対する不安だけでなく、時には死の恐怖に向き合ったり、それまでの人生観が揺らぐこともあります。

  • 自分の人生は何だったんだろう?
  • 生きる土台や、よりどころが失われたと感じる
  • 過去の出来事や人間関係への後悔の気持ちにさいなまれる今、生きていることが無意味に思えてしまう
  • ※ 参考資料
  • 1) 恒藤暁・内布敦子編「系統看護学講座 別巻 緩和ケア」(2014、医学書院)
  • 2) 緩和ケア普及啓発事業「緩和ケア.net」
  • 3) 日本緩和医療学会リーフレット「がんがわかったときからはじまる緩和ケア」